こんにちは。
先日、東京都庭園美術館にて2025年5月18日(日)まで行われている展示「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」を観てきました。

今回も備忘録がてら、展示について簡単に記録しておこうと思います。
※5.23追記
庭園美術館での展示は終了しましたが、5月25日よりgggで西ドイツのリブランディングに焦点をあてた企画展が開催されるようです。

展示概要

本展は、デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナーであるイェンス・ミュラー氏とカタリーナ・ズセック氏によって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」が所有する戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料の中から、幾何学的抽象、イラストレーション、写真、タイポグラフィの観点から選ばれたポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品を展示します。バウハウスやウルム造形大学が提唱したデザイン教育を基盤としたモダニズムを継承しながらも、戦後の新しい時代の表現を追求した西ドイツにおけるグラフィックデザインの世界をお楽しみください。
※ 東京都庭園美術館 展覧会概要より抜粋
会場内の様子
会場は本館1階と2階、そして新館ギャラリーの3つに分かれています。
本館が「序章 西ドイツデザインへようこそ」、「幾何学的抽象」、「タイポグラフィ」、そして新館が「イラストレーション」、「写真」の展示構成になっていました。
会場は一部のみ撮影可能です。
会期終了間近とあってか、平日昼間でもそれなりに混雑していました。
以下、気になったデザインの写真を掲載します。
【本館】序章 西ドイツデザインへようこそ



撮影不可のため写真はありませんが、「幾何学的抽象」、「タイポグラフィ」の章へと続きます。
【新館】イラストレーション/写真





以下、映画のポスターです。




感想
特に印象的だったのは、「タイポグラフィ」と「写真」の章。どちらの章でも、ハンス・ヒルマンのデザインが強く心に残りました。
タイポグラフィの章では、ナチス体制下でブラックレターの使用が「ドイツ的な文字」として推奨されていたこと、その後サンセリフ体が用いられるようになった流れ、そして他人が手がけた書体を用いることを嫌い、自らタイポグラフィを手掛けたというハンス・ヒルマンの姿勢がとても印象的でした。
写真の章は、映画のポスターデザインがメイン。
(この文脈で語るのはちがう気もしますが、)映画の空気感を表現するために紙吹雪を写真に載せたり、上映中の映像を撮影してデザインに活かすなど、今の自分には思いつかないような手法がふんだんに使われていて、「もっと柔軟な発想ができるようになりたい」と感じさせられました。
また、映像で語られていたイェンス・ミラー氏の
「バウハウス以前と以降で語られがちだが、それ以前からも優れたデザインは生み出されていた。そうした歴史が埋もれてしまうのは、正直複雑な気持ちだ」
といった主旨の言葉も、深く印象に残っています。
正直なところ、バウハウスやヘルムート・シュミットについては「なんとなく知っている」程度の知識で展示を観に行ったのですが、もっとデザイン史や時代背景に関する理解があれば、より深く楽しめたのではないかと感じました。
デザイン史や美術史には以前から興味があり、その必要性も常々感じていたので、今回の展示をきっかけに改めて本腰を入れて学んでいきたいと思います。
購入したミュージアムグッズ

図録、「BAUHAUS 50年」と「dtv」のポストカード、「100周年 キールウィーク 1982」のコースターを購入。
毎回展示を観たあと、最低一枚はポストカードを買うようにしているのですが、今回は奮発して色々と買ってしまいました(図録はオンラインでは品切れ中だそうです ※5月14日時点)。
図録はインテリアとして置いておいてもかっこいいですし、展示会タイトルにツヤがあり、ぷっくりしているところが気に入っています。
おまけ1|庭園もおすすめ🍃
5月半ばのお昼どきに訪れたのですが、新緑が清々しく、とても心地よい空気が流れていました。
展示を観終えたあとは、庭園のベンチでしばし読書をしたのですが、至福の時間でした。
時間があれば、ぜひ庭園でののんびりした時間や散策もあわせて楽しんでみてください🌿

▼ 展覧会情報
展覧会名:戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見
会期:2025年3月8日(土)〜5月18日(日)
会場:東京都庭園美術館
アクセス:
・JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分
・都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分
おまけ2|アイキャッチ画像解説

今回は西ドイツのデザインというテーマにあわせ、展示でも取り上げられていたバウハウスの要素を取り入れたアイキャッチにしました。
これまでのデザイン記事では、水色のグリッド背景にHelveticaで統一していましたが、今回は展覧会の公式デザインに寄りすぎてしまい、デザインの力量差が気になる仕上がりに……。
そこで、視点を変え、モダンデザインの礎を築いたバウハウスの意匠を意識した構成に変更しました。
タイトルには、ドイツの書体デザイナーであり、バウハウスの非常勤講師でもあったパウル・レナーによる幾何学書体・Futuraを使用。英語のサブタイトルをイタリック体にすることで、少しだけ動きが出るようにしています。
また、実線と色面で情報を整理し、グリッド構成や幾何学的なデザイン要素も取り入れました。