【感想】グラフィックトライアル2025 & クリエイタートーク

デザイン
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昨日、印刷博物館にて行われている展示「グラフィックトライアル」のクリエイタートークに参加してきました。

展示は来週末、7月6日(日)までです。

グラフィックトライアル 2025|GA info.
「グラフィックトライアル」とはグラフィックデザインと印刷表現の関係を追求し、新し...

グラフィックトライアルとは

TOPPAN株式会社とクリエイターが協力し、新しい印刷表現を探るプロジェクト。
毎年テーマが設定されており、19回目となる今回のテーマは「FIND」です。

慣れ親しんだいつもと変わらぬ世界でも、視点や気持ちを切り替えてみるだけで、驚くほど新鮮な切り口が見つかることがあります。
そんな斬新さに満ちた“発見”を求め、多様なジャンルで躍動する4人のクリエイターが印刷とポスターという領域に改めて向きあいました。
新しい何かを求めるこの時代、クリエイター各々の“FIND”が、観る人それぞれの“FIND”へとつながる表現をさぐっています。

(公式サイトより引用)

展示内容

今回参加されていたのは、大貫卓也さん、関本明子さん吉本英樹さん、妹尾琢史さんの4人。
会場には作品と、作品が完成するまでの「トライアル」の過程が展示されています。

妹尾琢史さん「透き通る”和”の情景 – FINDING JAPAN」

和紙とアクリルの重なりが生み出す、奥行きが美しかったです。

関本明子さん 「かさね」

10版を重ねてつくられたグラフィック。

トークショーで仰られていた「印刷は平たいけど、その中に時間と空間の重なり、奥行きがある」という言葉を噛み締めて鑑賞しました。

吉本英樹さん 「Lift Off」

フロッキー印刷を使って、ロケットが噴射する際の煙の立体感を追求された作品。

微細なラメを使ってリアルさをプラスしていたり、試行錯誤の過程も興味深かったです。

大貫卓也さん 「parallax」

大型のレンチキュラー(見る角度によって絵柄が変わったり、立体感が生まれる印刷物)作品に挑戦されたもの。

トークを聞いてから作品を拝見したのですが、確かに大型のものって見たことないなあと。

幼少時になにかのおまけでついてきた、おもちゃみたいなイメージが強かったので、なんだか新鮮な気持ちでした。

また、トライアルの過程を見ただけで、気の遠くなるような作業を繰り返されていたことが伝わってきて、どのクリエイターの方もそうですが、試行錯誤を重ねることの大切さを改めて実感しました。

クリエイタートーク

トークショーは約2時間で、前半は各クリエイターの方の人柄に迫るような内容。後半は出品作品について深掘りをする構成でした。

トークショーは印刷博物館のYouTubeでも公開しているようなので、ご興味ある方はぜひ。

「印刷博物館」公式YouTubeより)

以下、トークショーで印象に残ったところです。

  1. 関本さんが今の道を選んだきっかけが、高校生のころに大貫卓也さんの作品集を見たこと。
    今はそのきっかけとなった方と同じ会場で作品を展示して、トークをして……。純粋に、その事実になんだか胸が熱く?なってしまいました。

    わたしもいつか、憧れの方とお仕事ができたらいいななんて思ったり。

  2. 関本さんが手がけられた「レモンノキ」のトゲトゲしたグラフィックが生まれた経緯について。

    実際にレモンが栽培されている畑を見て、本来のトゲトゲとしたレモンの姿に気付いたそうですが、なにごとも自分の目で見て確かめるって大事だなあと。

    妹尾さんも自分の手で作って実験して確かめる、といったことをおっしゃっていましたが、体験することで初めて見えてくることも多いよな、と。

    最近、別のウェビナーで「表層的なデザイン」についての話があったのですが、本質を理解してデザインに落とし込むには、対象に対する解像度を上げることが必要不可欠。

    当たり前のことですが、忘れがちなことでもある気がしたので、なんだか印象に残っています。

  3. 大貫さんの言葉で印象深かったのが、
    「条件からアイディアが出る」
    「デザインは言語化。全てのものに意味がある。感覚的に判断しているように見えても、全て向かいたい方向が決まっているから、それを元に決定しているだけ(意訳)」
    という言葉。

    あとは、小学1年生のときにデザイナーになると決めたとおっしゃっていて、今回の出展にあたってもアイディアが山のようにあると話されているのが印象的でした。
    今も変わらずデザインを楽しんでいるのが伝わってきて、すてきだなと思うと同時に、なんだか羨ましくなってしまいました。

    そのほかにも、有名な「としまえん」の広告が生まれた経緯や、当時と現在のデザイナーの立ち位置の違いなど、興味深いお話がたくさん聞けました。

    「制約」や「絶望」すらも楽しんで、たくさん失敗して、たくさん学んで、いろいろな表現を身につけていきたいと思いました。

まとめ

クリエイターの方の試行錯誤が見られるのはとても勉強になるのはもちろん、印刷技術の可能性と奥深さを強く感じる展示でした。
また、こうした実験的な取り組みを企業主導で行なっているのも、とてもすてきだなと思いました。

印刷博物館では活版印刷の体験やワークショップ、工場見学ツアーなどもしているみたいです(わたしもいつか参加したいと思っています)。

今回ご紹介した「グラフィックトライアル2025」は7月6日(日)まで開催中です。
気になった方はぜひ、足を運んでみてください。

グラフィックトライアル2025 -FIND-
会期 2025年4月12日(土)~7月6日(日)
会場 印刷博物館 P&Pギャラリー
時間 10:00~18:00
休館日 毎週月曜日
入場料 無料 

印刷博物館 Printing Museum, Tokyo
印刷博物館では、印刷の起源から最新の印刷技術まで、コミュニケーション・メディアと...
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